IT技術の進化に伴い、さまざまな分野でデジタル化が加速しています。しかし保安分野は長く巡視点検が基本とされ、人の目・手に拠る管理からの脱却が課題でした。
その状況に風穴を開け、保安分野の効率化・高度化への牽引が期待されるのが、「スマート保安導入支援事業費補助金」です。高度な保安業務のノウハウを持ちながらも、費用の点で新規性・革新性のある技術開発に踏み込めなかった企業や自治体が、この補助金との出会いで得たもの。それは技術開発のブレイクスルーに留まらず、企業の信頼度アップをも生み出し、次のステージへの大きな足掛かりとなっています。
再生可能エネルギーの発電事業を展開するRYOKI ENERGY株式会社(本社:石川県金沢市、代表:北川雅一朗)は補助金を利用し、太陽光発電の保守点検において、AIを活用したPCS(パワーコンディショニグステム)故障予知システムの実証事業を行いました。
「このシステムを企画した時点から、世の中に普及させたいという思いがあった」と同社・西田氏は語ります。自社発電所で使用していたPCSに故障が発生した際、メーカーの修理担当者がすぐに対応できなかったということが開発のきっかけに。同様の課題を解決するソリューションを探したものの見つけられず、それならばと自社での開発に踏み切りました。
当初は費用の関係上、自社内の2~3の施設にデータロガーを設置しデータ取得する予定でしたが、この補助金を知り申請、採択されたおかげで、52箇所に設置することができました。補助金は、データロガーの設計・製造、データロガーの設置、AIシステムの開発、Web UIの開発等に活かされました。
具体的な内容としては、
①PCSにデータロガーを設置、収集したセンサーデータをクラウドサーバーに送信 ➁データをクラウドサーバーでAI解析 ③故障の予兆を検知した場合は、発電事業者等にアラートを送信するというもの。
これらシステムによる常時監視とAIによる故障予知で、想定されるトラブルへの事前対処が可能になりました。突発的な保安業務が削減できるうえに、復旧にかかるリードタイムが確保できることで稼働停止期間を最小化し、発電量の最大化に繋げます。
実証事業では、定期点検から常時監視になることで監視時間が増加(年間8h→8,760h)、導入により故障予兆の見落とし回避率が1,000倍になると想定。また巡回点検は年間80%削減、故障時の突発的な業務負荷は90%削減できると想定しています。
開発当初から展示会出展などにおいて、発電事業者やO&M事業者などの関心も高く、また補助金採択と52箇所設置が大きな実績にもなり、さらなる新規の引き合いを生んでいます。
発電事業を通して同社がめざすのは、「世の中に再生可能エネルギーを増やす」こと。ソリューションの普及は、このミッションに則ったものであり、再生可能エネルギー電源の安定化・最大化という形で社会に寄与したいと考えます。将来的にはPCSメーカーや他事業者とも連携しながらシステムやサービスの質を高め、太陽光発電の保安業務や管理業務のスマート化に貢献する存在をめざしています。