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技術開発のブレイクスルー、会社の信頼度アップをも生む「スマート保安導入支援事業費補助金」の力

IT技術の進化に伴い、さまざまな分野でデジタル化が加速しています。しかし保安分野は長く巡視点検が基本とされ、人の目・手に拠る管理からの脱却が課題でした。 その状況に風穴を開け、保安分野の効率化・高度化への牽引が期待されるのが、「スマート保安導入支援事業費補助金」です。高度な保安業務のノウハウを持ちながらも、費用の点で新規性・革新性のある技術開発に踏み込めなかった企業や自治体が、この補助金との出会いで得たもの。それは技術開発のブレイクスルーに留まらず、企業の信頼度アップをも生み出し、次のステージへの大きな足掛かりとなっています。

●ドローンの自律運転で広がる、水力発電所保安の未来
「山梨県企業局」

山梨県の電気事業を担う、山梨県企業局(所在地:山梨県甲府市)は、補助金を利用し、水力発電所でのドローンの自律飛行・遠隔操縦の実証事業を行いました。

山梨県企業局では将来懸念される人的リソース不足に備えて課題に取り組んでいました。
1点目は「人的負担の軽減」です。水力発電所の多くは山間僻地にあって移動に3時間近くかかるうえ、200~300mの高低差のある水圧鉄管路の目視点検は困難で、人的・時間的負担は無視できないものでした。
2点目は「保安管理の属人化脱却」です。保安管理のノウハウはベテラン職員の経験により属人化されており、技術継承は進まず、知的財産が喪失する危機に直面していました。
これらに加え水圧鉄管路の足場は不安定な急斜面で、常に滑落等の危険性が伴います。台風や土砂災害で急行する際の道路崩落の危険性も職員の心身的な負担になっており、安全性の向上も急務でした。
このような課題をスマート保安導入で解決すべく、若手職員を中心に、局内にDX推進ワーキンググループを結成。手始めにドローンを利用した巡視点検の自動化・無人化を可能にするシステムの構築に着手しました。

補助金の採択を受けた山梨県企業局では、屋内外で使用する2種類のドローンの実証事業を開始。「発電所巡視点検ドローン」では、約80km離れた発電総合制御所からドローンを起動。設定したルートで自動巡視点検を行い、動画を自動保存することに成功しました。故障発生時には、遠隔でドローンを操縦し、機器や計器の状況を確認できるシステムで、早期情報収集を実現させ迅速な復旧をめざします。また、月2回の巡視点検のうちの1回を、ドローンによる点検2回に置き換えることで、保安力を低下させることなく業務効率化が可能となり、緊急対応時の急行が不要になることも考えると、数十人単位の人的リソースの削減につながるのではと想定しています。
「水圧鉄管巡視ドローン」では、高低差のある水圧鉄管において、自律飛行で巡視点検を行うシステム構築を進めています。実証事業の撮影では部品の細部まで確認することができ、目視で見えない側面の確認も行えたため、水圧鉄管の巡視については目視を補完し、巡視点検の高度化につながるのではという感触も得ています。

「補助金利用で大幅に事業費の節約につながったことに加え、若手職員のチャレンジングな提案も、補助金が担保されていることで上層部の理解を得られやすかったと感じます」と同局・内田氏は語ります。

今後は、職員のドローンスキルの向上をめざしつつ、撮影映像をオンラインで共有し、ノウハウの蓄積を進めて職員個々の学びの一助とする予定です。また将来的には、AI画像解析と組み合わせ、ダム等のコンクリート構造物のひび割れ管理、水力発電所が所在する市町村の災害発生時の被災状況調査に協力するなど、電気事業のみに囚われない、県全体に有益になる活用も検討。ワーキンググループではさらに、今回のドローン施策以外にも、スマートグラスを使った遠隔の立ち会い検査や作業補助、スマートデバイスを使ったリモート操縦の開発も進めています。
「若手のみんなで話し合い、良い意見も出してくれる。頼もしい限りです」と、内田氏も目を細めます。ワーキンググループのこれからの活躍に期待がかかります。

●前人未到のドローン防爆認証の突破口として
「株式会社Liberaware、OKUMA DRONE株式会社、西部マリン・サービス株式会社」

国産の点検・測量ドローン開発を行う、株式会社Liberaware(本社:千葉県千葉市、代表:閔 弘圭)は、OKUMA DRONE株式会社、西部マリン・サービス株式会社とコンソーシアムを形成、補助金を利用し、防爆認証特化型ドローンによるプラント点検ビジネス構築事業のための実証事業を行いました。

コンソーシアムでは以前より、安全面への懸念や労働人口減少により、プラント/インフラの点検でドローンが多く利用されていることを認識していました。しかし石油化学プラントにおいては、防爆の観点からドローン導入が難しい区域があり、ここに大きなニーズがあるにも関わらず、効率的な点検を実施できていませんでした。
そもそも従来の防爆認証は、固定しているもの、もしくは携帯できるものしか申請できるしくみがなく、ドローンに適用可能な防爆認証は現時点では存在しません。それ以前に認証試験を行うこと自体に法律の壁が立ちはだかります。
そこでコンソーシアムでは、防爆コンサルティングを行う株式会社イーエス技研や国内認証機関等へのヒアリング・情報交換を通して、ドローンの防爆認証の可能性を調査するとともに、それに適合した特殊防爆構造を持つドローンを開発、国内初の防爆認証をめざすプロジェクトに着手しました。

株式会社Liberawareではまず、認証試験を実施するための防爆構造を持ったドローンの開発を開始。「最も困難に感じているのは、バッテリーと全体の回路機構」と、同社・天土(あまつち)氏は語ります。
防爆規格に基づき、飛行エリアや使用条件を広く設定するほど設計要件は厳しくなり、結果的に機体の重量アップは避けられません。
一方、使い勝手や本質的な安全性を考慮すると機体の軽量化は必須であり、今年度は運用方法含め設計方針を再検討しました。
可燃性ガスのある危険区域を飛行時は、気密性を確保した機体構造で周囲への引火を防ぎ、万が一機体に異常が発生した際も、電源を遮断するインターロック回路を搭載することで防爆構造を維持し続けられるという思想で、新たな構成のドローン開発にチャレンジしています。
今年度の成果物が防爆検定の認証を得られれば、従来ケージで強固に保護するという重厚な設計思考から脱却し、より実用性の高い防爆ドローン開発にアプローチできるようになると考えています。

ドローンの防爆認証については、多数の省庁を横断しており、また実証を行うに際してプラント事業者の協力も必要で、官民の理解があってこそ実現可能となるプロジェクトです。
今後は、本補助金にて開発した防爆ドローンの構造をベースに、実点検機体の開発を進めることで、前人未到のドローン防爆認証の突破口としたいと考えています。さらに将来的には、石油化学プラントのみならず様々な業界の防爆エリアにおいて、防爆ドローンへの置き換えをめざすことで、より効率的かつ安全な保安活動につながることが期待されています。

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